きれいな除雪で住民の安心安全を確保する
−タブレット端末を活用した除雪車運行支援ICTシステムの研究開発(平成25-26年度)−
主催:長岡技術科学大学(情報ネットワーキング研究室)
協力:長岡市川口支所・山古志支所,
(株)エヌ・シィ・ティ,
金井度量衡(株),
(株)ネットワーク応用技術研究所
支援:総務省「戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)」(地域ICT振興型研究開発)
研究の目的
- 本研究開発は,豪雪地域での除雪作業中に発生する除雪車の転倒や道路設備の破壊といった事故の防止,広範囲の積雪状況の把握による作業効率の向上,などのために,除雪車運行支援ICTシステムの研究開発を行うも
のである.また,地域の企業と連携して実施することで,地場産業の振興や新規事業の創出など,地域社会の活性化を図ることも目的とする.
研究の背景
- 除雪作業には高度のスキルが要求される.しかしながら,
- 道路が多量の雪に覆われるため,マンホールや縁石の損傷,除雪車の損傷や転倒などの事故が多い.
- 高齢化が進んでおり,除雪オペレータの若手の教育や習熟度の向上が望まれている.
- きれいに除雪を行うことは,地域住民の車の走行の安心安全のために重要である.
- 豪雪地帯の通勤・買物の手段は自家用車への依存度が高い.
- 高齢者は雪道運転が怖くて,引きこもりがちになる.高齢者対策のためにもきれいな除雪は重要である.
- 一方,除雪作業の多くは自治体から除雪業者(多くは土木建設業者)への委託形態である.
- 除雪作業中のマンホールや縁石の損傷は除雪業者の負担となる.
- 現状,除雪費用の算出は,ほぼ、除雪稼働時間のみである.除雪時間短縮へのインセンティブがない.
- 除雪作業の見える化,により,除雪事業全体としての高度化や効率化への寄与が期待できる

ビデオ : 平成21年度豪雪−長岡市内
ビデオ : 平成23年度豪雪−上信越道
実験結果のまとめ
研究開発の概要

除雪車搭載タブレットシステム(SBTablet)
- 除雪車にAndroidタブレットを搭載し,非積雪時の景色を表示する
- 非積雪時の景色(除雪車の高さ(約3m)のパノラマ写真)を,1秒に1回、表示する
- 危険個所(マンホール,グレーチング,縁石など)ではアラーム音で通知する
- 除雪車特有の前進・後退の動きに追随する
- 車速やギヤ(前進、後退)のデータを使わず,タブレット内のセンサーだけで動作する
- 同時に,GPSデータを取得し,除雪車の稼働を見える化する
- 降雪量(SSNetで収集)と除雪車の運行状況(稼働時間)の相関を定量化する
- 除雪に時間がかかる箇所(雪捨て場の確保が困難な箇所)を特定する

降積雪センサーネットワーク(SSNet)
- 安価なセンサーネットワークで積雪・降雪を自動計測し,可視化して提供する
- 各地域(除雪対象地域)の積雪深を管理用サーバに集約し,HP上で積雪深・降雪深などを表示する
- 道路管理者・除雪車オペレータは,24時間オンラインで,各地点の積雪・降雪状況を直感的に把握できる
- 除雪車オペレータに,降雪量を予測して通知する
- 当該地域における午前7時(早朝除雪対象)までの降雪量が10cm(除雪車出動判断基準)を超えるか?
- 降雪量と除雪車走行ログ(SBTablet収集データ)の関係を解析する
- 降雪量に対する除雪車走行時間を見える化し,除雪車の稼働を客観的に把握できる

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